「夕食は何にする。」 と家内から聞かれて なぜか急に豆腐が食べたいと思った。とっさに冷奴と
なにか豆腐料理をと要求した。夕食には当方の望み通り豆腐の入った煮物とあえ物と冷奴 他が

並べられた。満足であったが冷奴を 食べていてあれっと思ったのである。何年もいや結婚して
何十年も豆腐を食べ続けていたはずなのに冷奴が美味しくない。自分で要求した性もあるのだろうが

改めて豆腐の味を いまさらながら確かめてみるが 何か違う。  今までずっと食べ続けて来て
知っている味のはずなのに、、、 別に今まで気にも留めて来なかったようである。しかしながら

とにかく自分が小さい頃食べていた豆腐と  全然違うことに気ずいた。 食べたいと思った
その瞬間に昔の味を思い出したのか?いや食べたいと思ったのが 昔の豆腐の味だったのだろう。

とにかく今の豆腐はいわゆる表面がツルツルしていて面になっている きれいだ。  味の甘味が
薄いというより無いと言った方が良いかもしれない。豆腐と言うよりどちらかというとケーキだ。

家内に聞いたところ これは 普通の豆腐で木綿豆腐では無いと言う。それではと言う事で次の日も
木綿豆腐を買って来させた。 確かに昨日の物より わずかにではあるが表面に木綿の跡らしき

物はあるし多少味も違っていた。しかしこれとて自分の知っているあの豆腐ではない。とにかく
大きさからして違う。今の豆腐は昔の半分くらいだ。昔のあの豆腐は完全に木綿で濾した木綿布の跡が

残っていて、大きくて硬くて 箸で割ると中は荒荒しくて醤油を垂らすと ジュワーと中まで染みていく
あの豆腐だ。味には甘味があった。今の豆腐は小さいし味に甘味が無い。 箸で簡単に割れるし割れた

面もきれいだ。 醤油を垂らすと中まで染みていかないし割れた面を流れるだけだ。ほんとにケーキと
言って良いくらいだ。年を重ねて舌で感じる味が変わったのだろうか?いやそれにしてもあのちょっと

苦いような微妙な甘味は無くなっている。食べたときのボソボソ感が無い。醤油の性だろうか?
義母達に言われて 九州の醤油と関東の醤油の味の違いに気ずいたのは ほんの十数年前のことだが

(義母達は九州の醤油は甘いと言ってわざわざ 九州から取り寄せた事がある。)どうも醤油の味の
性でもないらしい。  やはり違う。  天然ニガリだ、国産大豆だ、バイオ大豆だと言っても、

当方にはさっぱりピンと来ない。とにかく 食べたいのは 田舎で食べた硬くて大きくてボソボソと
した荒荒らしいあの甘い豆腐だ。明治27年生まれの祖父は豆腐が大好きだった。あの大きな豆腐1丁を

醤油をかけて ほんとにうまそうに食べた。 祖父の使いと言えば 私は タバコと豆腐を買いに
行く事だったことを 今思い出している。大量生産と言う時代の流れによって あの豆腐を作っている

ところは もう日本には少ないのだろう。残念だが 仕方の無い事なのだろう。

蛇足をもう1つ
昔の牛乳は濃かった、餃子は 一皿7個だったのだ。これも時代の流れによるものだろう

なんのこっちゃ     ではまた